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王座戦とわたし

明けましておめでとうございます。村上です。
あれからもう六日が経ちました。年明けの発表が終わってから更新する予定でしたが、王座戦が終わってから心に穴が開いたような状態が続いていて学業もあまり捗らないのでここで振り返っておきます。




・~王座戦
今回の王座戦を語るうえで欠かせないのが秋季一軍戦です。後期に入って学業が忙しくなり、一か月ほどほとんど将棋に触れていない状態で一軍戦を迎えることとなりました。そして内容的にも四年間で最悪レベルの将棋が多く、チームの足を大きく引っ張ることになってしまいました。おかしくなってしまった調子は第二代表でも相変わらずで見るも無残な負け。しかし、チームは勝ってくれて今年も王座戦に出場できることが決まりました。後輩の育成の観点からも一回生たちに王座戦を体験してもらうことはとても重要だと思っていたので、本当に良かった。
この一軍戦では内容的には阪大が京大を上回っていたと思います。その阪大を蹴落として全国に行く以上みっともない成績は残せないという思いを強く抱きました。とはいえ、四回生という立場上昨年のように将棋だけに打ち込むことは難しく、学業と将棋のどちらも中途半端になっているのではなかろうかという葛藤は常にありました。第二代表が終わってから王座戦までは一か月もありませんでしたがこの頃から学業:将棋=3:7くらいで調整し、どちらに振り切ることもできないもどかしさは最後まで拭いきれませんでしたが、だいぶ棋力を戻せたという実感とともに四日市へ向かいました。

・一日目
今回は局面図は少なめで振り返ります。

<岡山大戦>
僕の相手は本池さん。超速に対し、いつも通り早めに56歩と仕掛けました。かなり広く深く研究している形でした。

他にやる人があまりいない仕掛けだからか、この後の数手で相手の方がかなり時間を使ってこられ20分近く時間差をつけることに成功。これが大きく、リードを広げて勝つことができました。初戦が始まる前はかなり緊張していたのですが白星スタートを切れたことでかなり精神的に落ち着きました。チームは6-1。最近では珍しい、安定感のある立ち上がり。

<福岡大戦>
僕の相手は後藤さん。対抗型から経験値の少ない展開に。しっかり読みを入れて相手の攻めを呼び込む手順を選択しましたが、一歩間違えれば即負けになりかねない局面が多く対局中はとても怖かったです。幸い、形勢はずっと難解だったようです。

自陣は金銀を全てはがされていますが、ここで66歩が厳しい反撃。以下はなんとか一手勝ちになりました。自分の土俵ではない指し方で強敵相手に勝てたことで、調子が悪くないことを確認できました。チームは7-0。みんな強かった。

<金沢大戦>
僕の相手は金川さん。富士通杯でも金沢大の方に苦戦させられた戦法を再び採用されました。

ここで55銀~86角と打つのが用意していた指し方。これでこちらが良いというわけでもないのですが、62飛とまわらせることで相手の狙いである2筋からの攻めを防ぎこちらのペースで進めることができました。実戦は中盤で相手の方に見落としがあり、短手数で快勝に。僕の対局が終わった時点でチームは少し危なさそうだったのですが、ほっそーと河合くんが力強く逆転し終わってみれば5-2。調子を崩している人もいなさそうでチームの雰囲気も良かったと思います。

・二日目

<東北大戦>
僕の相手は渡辺さん。東北で有名ならしい杜の都定跡なる仕掛けをされました。

ここまで相手の方の指し手がとても早く、研究されていることは明らかだったためかなり時間を使って対応しましたが最善の応手を選択できなかったようで中盤までにかなり形勢を損ねてしまいました。終盤で少し追い込んだものの届かずここで連勝がストップ。この仕掛けはおそらくネット将棋で一度は指されたことがあったはずなので、準備不足でした。

<名古屋大戦>
僕の相手は近藤さん。ありがちな相振りの中盤、のはずだったのですが…

8筋の歩を交換した局面。ここで87歩同飛69角86飛85歩同飛58角成同金74金と進められると自信がないことに気づき背筋が凍りました。8筋の歩を交換する前にある程度時間を使っていたにも関わらず相手の持ち駒の歩の枚数を一枚勘違いしていました。実戦は相手の方がその手順を見送り、息を吹き返しました。以降は中盤から徐々にリードを広げて勝ち。連敗を回避し、一安心。

<一橋大戦>
僕の相手は田中さん。ワクチン風の出だしで、やってみたかった角打ちを決行。

あまり指しなれていない力戦調の展開になりましたが、この将棋は一局を通して自然に、そして集中して指せて快勝となりました。チームも5-2で勝利し全勝をキープ。この日もチーム全体はここ数年なかったくらいの好調でした。

・三日目

<早稲田戦>
僕の相手は征矢さん。戦型は、相振りで相金無双に。

散々指した形です。ここから74歩~73銀上~75歩と仕掛けてペースを握ることができました。中盤で相手の方に見落としがありこの将棋はほぼ完璧に指して押し切ることができました。前日のオーダー会議でも予想していたことですが早稲田との対戦は本当に激戦で、チームは4-3でギリギリの勝ちでした。僕の対局が終わった時点では2-5負けもあり得るくらい苦しい将棋が多く祈りながら観ていたのですが、強敵相手に逆転勝ちを収めた宮越さんと草間さんが本当にすごかった。チームの勝ちが決まった瞬間は、今までの団体戦で最も嬉しかったです。

<北海道大戦>
僕の相手は兒玉さん。将棋は、中飛車に対して一直線穴熊で対抗され中盤で大きな駒得になり早々に大優勢に。ここで集中力が完全に切れ、持ち時間に余裕があったこともあり立命館-早稲田の将棋を観たりしていました。こんなことをしていては流れがおかしくなるのは当然で、終盤でうっかりを重ね逆転負け。終局後は呆然としていて感想戦ができず、相手の方には申し訳ないことをしました。チームは5-2で勝ち。気を取り直して立命館との全勝対決へ。

<立命館大戦>
昨年の王座戦が終わってから、この一年の目標はこの王座戦の最終戦、立命館との対戦をお互いに全勝で迎えることでした。それがようやく叶い、全ての勝ち運を置いてくるつもりで最後の対局に臨みました。
僕の相手は櫻井さん。こちらの先手中飛車に対して二枚銀でこられました。

ここで36歩と突いたのですがこの手がどうだったか。48角~77金を優先した方が良かった気がします。本譜は5筋から動かれ、こちらがやや焦り気味に動く展開に。

直前に77歩と叩かれる手をうっかりしており、既に秒読みに入っていたこともあり精神的にも焦っていたこの局面。後で解析したところややこちら持ちの局面だったようなのですが、ここで判断を誤ってしまいました。同歩同飛87歩82飛の局面は指す手が難しいと判断し48角87歩成76飛86と83歩76と82歩成と進めましたが駒損が大きくかなり苦しくなりました。代えて、48角の局面では同歩同飛87歩82飛に76飛と浮き、87飛成には86飛とぶつければ互角以上の形勢でした。また、本譜の手順中の76飛では単に83歩と叩くべきでした。

ここから多分1時間くらい指したのですが、差を縮めることはできず負け。投了する直前になって多くのギャラリーに囲まれていることに初めて気付きました。そして、チームの敗北を知り、僕の王座戦は幕を閉じました。終局後はまさに虚無という感じで、しばらく感情を失っていた気がします。






王座戦は、僕が初めて出場した全国大会でした。もう3年前になるのかと思うと早いものですね。一軍戦よりも長い40分60秒の持ち時間で真剣に指すことには他では得られない高揚感があり、一局指す度に強くなれる場だったと思います。一、二回生の頃の僕ははっきり言うとあのような場で指すには棋力が足りていなかったと思いますが、一回のときは3局、二回のときは7局も出してもらいました。四年間を通して、僕は実力以上に評価してもらい、たくさん対局に出してもらえたなと思っています。歴代の主将への感謝は尽きないです。


今回の王座戦は僕にとって例年とは比較にならないほど思い入れの強いものでした。代表を取るのにとても苦労したこと(僕は負けてただけですが)、強い同世代、同期の仲間がこれだけ揃って出られることはもう無いであろうこと、そして僕が真剣に指す最後の機会になること、等を思うと名残惜しくて大会が始まって欲しくなかった。これは、今までに味わったことのない感情でした。大会が進むにつれてその気持ちは増していき、最終日の前夜、最後のオーダー会議を終えてホテルの自分の部屋に戻ってから少し泣きそうになりました。傍から見ると意味不明ですね。


僕と同世代、同期には本当に強い人が多かった。今回の京大はほぼ7人固定のオーダーでしたが、そのうち6人が同世代か同期でした。そして、彼らは将棋が強いだけではなく人間的にもとても優れた人たちでした。入学してきたときには、大学の将棋部なんだからこのくらい強い人がたくさんいるのは当たり前だろうくらいに思っていたのですが、この環境は全く当たり前ではなかったことが今となってはよくわかります。


気持ちは若手とはいえ、四回生にもなると部の今後や後輩の育成について考えるようになると思います。強い一回生がたくさん入ってきた昨年、彼らに何が残せるだろう、と考えたときに必然的に僕が入学してきたときの上回生(現在の七、八回生にあたる人たち)がしてくれたことを思い出しました。僕が回生が上がるにつれて多少なりとも強くなれたのは、全国大会を多く経験できて刺激を受けられたからだと思っています。二回生まで、代表を取るためには特に何も貢献していないのにずいぶんと対局に出してもらいました。京大がずっと全国大会に出られていたのは強い上回生の方たちのおかげで、その人たちが抜けた一昨年、昨年もずっと目標であり続ける存在でした。最後まで棋力では敵いませんでしたが、後輩を全国に導き、真剣に指して勝つ姿を見せることは上回生の義務だと考えるようになりました。特に前者が個人的に全くダメだった今回、それほど棋力差が無いにもかかわらず出場機会が少なくなるであろう人たちのためにも、たくさん出してもらう以上恥ずかしい将棋は指せないなと思っていました。他のレギュラーの人も、それぞれ何か想いを抱いていたのではないでしょうか。そして果たして今回、出番に恵まれなかったメンバーや一回生たちにレギュラー陣は何か良い影響を与えられたんだろうか…。彼らが判断することですが、何かを感じ取ってくれたなら嬉しいですね。


自分が主力として団体戦にほぼフル出場するようになってから、大会の度に出番のない人や出番の少ない人のことが気にかかるようになりました。優勝を目指している以上14人全員が出場することは難しくなりそうというのは今回も同じで、それは結果を出すためには仕方のないことだとなんとか納得していましたが、ほとんどの大学でレギュラーになれるくらいの実力があるにもかかわらず出番に恵まれないメンバーがそのことが原因で将棋や団体戦が嫌いになってしまうのではないかという不安は常にありました。ここに書いたところでどうしようもない問題ですが、これはレギュラーとして出続ける人は気に留めないといけないことだと思います。


今回の京大は、とても雰囲気が良かったと思います。出られない不満がある人もいたと思うのですが、戦型チェックをしたりオーダーを考えてくれたりしてくれたおかげで今回の好調の京大があったと思います。それだけに、最後の結果は無念でしたが…。特に僕の代の新人王であり今回のレギュラーともほとんど棋力が変わらないだいてつは、四回生の中で唯一出場機会がなくて悔しさや不満も大きかったのではないかと思うのですが、とても熱心に応援し、オーダーも考えてくれていました。立命戦の直前にがんばれと言って肩をたたいて送り出してくれたのは本当に力になりました。ありがとう。


あまりの文章のまとまりの無さに自分で驚いているのですが、そろそろ締めます。


東京の公立高校に通っていて個人でも団体でも全国大会とは縁のなかった僕にとって、京大に入って良い仲間に恵まれ、全国の舞台でたくさん将棋を指せたことは素晴らしい思い出になりました。四年間ありがとうございました。なんとなく入った将棋部でしたが、入って良かったなと心から思います。今年はOBとして同期(?)や後輩の応援にちょくちょく行こうかと思います。今年一年が、京大将棋部にとって良い年になるといいですね。ではまた。



P.S.
感じたことを文章にするのは本当に難しいですね。書きたいことの半分くらいしか書けなかった気がします。国語力のなさが露呈してしまいますね。しかも前回の日記以上に老害っぽい文章になっていて動揺を隠せないのですが、せっかく書いたのでそのまま投稿します。各メンバーに一言書こうかとも思ったのですがそれは次の日記にまわします。いつ書くかわかりませんが。とりあえず明日からは卒業研究がんばります。
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