京大が3人しかおらず寂しかったですが、名誉挽回のためにも気合を入れて臨みました。
1戦目 野中(関大)戦
余計なことを書くと、ネギ先生が一軍戦でやられた相手だとか。僕先手で、横歩取りに。52玉+85飛だったので、O西さんに教えてもらった69玉型を試してみることに。
![sakuzu[1] (8)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/201110162126053ea.png)
今▲15歩と伸ばしたところ。41玉型になっているのは、後手が途中で端を警戒して引いたものです。実戦経験がないのでよくわかりませんが、ここではすでに後手の指し手が難しいようです。確かに▲48銀や▲36歩と同じくらい価値のある手が後手の方に見当たりません。本譜は△25歩▲36飛△45飛としてきましたが、これは明快にまずく、▲33角成△同銀▲56角△44飛▲14歩で後手シビレ。玉の堅さが同じなので、一方的に手を作られると取り返しが付きません。相穴熊と同じような感覚ですね。数手進んで次図。
![sakuzu[1] (9)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/20111016214105ff4.png)
△14飛とまわったところ。ここで▲24歩の垂らしが激痛で勝ちを意識しました。以下△18飛成▲23歩成△29竜に▲21馬で決まり。快勝でスタートを切ることができました。
2戦目 脇田(同志社)戦
余計なことを書くと、ネギ先生が予選でやられた相手だとか(笑)僕後手で2手目84歩から藤井矢倉に。そういえば先月号と今月号の将棋世界の付録はかなり優秀でしたね。あれだけきちんと説明してもらえれば、アマチュアの間でも藤井矢倉が流行るかもしれないですね。
それはさておき、本譜はこちらが工夫を見せて定跡を外しました。
![sakuzu[1] (10)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/201110162157440eb.png)
今△44銀右と出たところ。工夫と言いましたが僕が考えたわけではなく、ちょっと前のA級順位戦の藤井ー佐藤(康)戦で佐藤先生が見せた工夫です。僕のうろ覚えによれば、その将棋は▲68玉△45銀▲58飛△36銀▲同銀△19角成・・・と進み、難解な戦いの末、後手が勝ちました。この構想は面白そうだなーと思っていたので、藤井矢倉をやってこられたら試してみようと温めていました。
実際にやってみて分かったことですが、▲68玉は上のように仕掛けを誘発して怖いのですが、それ以外にろくな手がありません。▲46角は△55歩~△52飛といい感じで攻められる上に37の銀が使い物にならなくなりますし、▲58金はいかにも構え過ぎで普通に囲い合いにして後手満足。本譜は▲78金でしたが、これは方向が違う感じ。以下△52飛▲58飛△55歩▲同歩△同飛▲56金△25飛▲28歩と気持ちよく捌きながら陣形を乱して作戦勝ちに。以下△73桂▲67金で次図。
![sakuzu[1] (11)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/20111016221824061.png)
ここから、△55銀▲同金△同飛と再度ぶつけた手に対し、本譜は▲46角でしたがさすがにこれは粘りを欠いた手で、大駒交換後の△79飛が激痛で勝負あり。▲46角に替えて▲56銀を予想していてまだまだ大変かと思っていましたが、これも玉を堅めたあと△44銀~△55歩の筋で好きなタイミングで戦いを起こせるので先手が辛そうです。またも快勝で流れに乗ったかと思いました。
この2回戦で、畑さんが最終盤で勝ちを逃し惜しくも荒井さんに破れ、夢の京大対決ならず。
3戦目 荒井(立命)戦
というわけで3戦目は荒井さんと。先輩の借りを返す意味でも、立命に一矢報いる意味でも勝ちたいところ。僕後手で当然の先手四間に53銀左急戦採用。
![sakuzu[1] (12)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/2011101622370435f.png)
今▲36歩と突いたところ。ここから△65歩▲同歩△77角成▲同桂と進み、そこで△82飛がよくある進行ですが、△22角と打ったらどうなるんだろうと思っていたので打ってみましたが、以下▲68金△75歩▲同歩△同飛▲57角△72飛▲75歩とされて、全く手になっておらず撃沈。▲36歩に替えて▲47金とした場合には△22角で後手良しなのですが、なるほど▲36歩だとこれでダメなんですね。っていうかこれぐらい研究しとけよって感じですね(苦笑)本譜この後の先手の構想がまずく、それを咎める形で後手良しに。
![sakuzu[1] (13)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/20111016224820b9b.png)
△55銀左とぶつけたところ。ここでは手応えを感じていたのですが、ここで▲65銀とぶつけ返されて、アゴは外れ目ん玉は床に付く勢いで飛び出しそうになりました(笑)なんじゃこりゃー!!と叫びたくなる衝動をこらえ冷静に考えたつもりだったのですが、一番普通な△66銀▲54銀△67銀不成を選べず。ただ本譜の△同銀▲55角△56銀でも駒得で後手悪くはなさそうです。進んで次図。
![sakuzu[1] (14)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/20111016230008ce4.png)
ここから△54歩▲同銀△56歩▲同飛△44金と珍しく冴えた順を披露。この順は観戦していた畑さんにも褒めていただきました。以下▲43銀成△同金▲51飛成と突っ込んで来るしかありません。
![sakuzu[1] (15)](http://blog-imgs-45.fc2.com/k/s/2/ks2007/20111016230631385.png)
ここから驚愕の弱さを発揮。図ではもう全国民のみなさんの第一感が△42銀でしょう。以下▲71竜△84飛で完全に後手優勢。ところが後手のアンポンタンさんはここで△35歩・・・。いやほんと弱くてすみません。言い訳すれば終盤で自玉に手を入れたり後手を引く手が嫌いなのでそれが重なった△42銀は1秒も考えませんでした。まあしかしこの△35歩は誰がどう見ても僕っぽい手なので、自分らしさが出たということで。それにこの手はまだ疑問手レベル。そこから▲31銀と打たれて△33玉と上がったのが、今自分が作った傷に自ら近づくという狂人の一着で見ての通り敗着。もう目が盤上とは違う別の世界を見ていたのでしょう。これは大局観が悪いとかそういうレベル以前の重症です。▲31銀には当然△12玉と寄り、▲15歩に△24桂と際どく受けてどうか。△42銀に比べれば圧倒的に危険ですが、これでもまだ残していた可能性はあります。この2手で急転直下で敗勢になり、以下よどみなく押し切られました。途中まで上手くさせていただけに、この敗戦は非常に悔やまれます。
というわけで代表GETはならず。負けたことに対してこんなに悔しいと思ったのは久しぶりです。
今回の個人戦を通して、序中盤は全体的に上手くさせていたと思いますが、最後の将棋のように、終盤はまだまだ未熟です。序中盤の成功も、終盤に入ってからの数手の悪手ですぐ吹き飛んでしまうということが身に染みて分かりました。序中盤に関してはSのが検討会を開いてくれているので、それに参加して鍛えていこうと思っていますが、終盤に関しては自分でなんとかする他にありません。そのへんを今後の課題として、一軍戦時には、それを克服できたと実感できるよう、努力していきたいと思います。